珊瑚冠賞は紅一点サノノエスポ制覇!高知に縁がある塚本征吾騎手の好騎乗光る

9月27日に行われた珊瑚冠賞(1着賞金1000万円、1900m)を紅一点のサノノエスポ(牝6、父エスポワールシチー、母シックファイター=ヘクタープロテクター、日高・豊洋牧場生産、馬主・㈱ファーストビジョン、目迫大輔厩舎)が制しました。人気の中心は高知三冠馬プリフロオールインや、この春に福永洋一記念と建依別賞で重賞2勝を挙げて勢いに乗るライラボンドでしたが、積極策が奏功しました。

前日から水の浮く不良馬場だった高知競馬場は、この日も同様の馬場状態。戦前からポイントの一つと考えられていたのは、ハナ争い。逃げて重賞7勝を挙げるプリフロオールインが8枠11番、そのすぐ隣の大外枠に逃げ・先行タイプのサノノエスポが入ったのです。
宮川実騎手の騎乗停止により、急遽吉原寛人騎手が手綱をとったプリフロオールインは五分のスタートを決めましたが、そこまで行く気配を見せません。その様子を見逃さなかったのがサノノエスポの塚本征吾騎手。戦前は番手外に控えるプランを主軸に考えていましたが、「行ってしまおう」と、すぐさまプランBに切り替えました。


前半600m38秒1と、ペースはやや流れましたが、それは人気の一角であったライラボンドを警戒してのもの。福永洋一記念では1周目スタンド前で一気にポジションを上げたように、どこかのタイミングで来ることが考えられました。
もう一つ、このペースはサノノエスポ自身にとってもプラスでした。「逃げ馬に合わせるのではなく、自分のペースで行けると力を発揮できる」というのが9戦にわたり騎乗する塚本騎手の感触。
それらの要因から、ペースが緩みすぎることなくレースは進んでいきます。3コーナーに差し掛かると、好位にいたサンライズホープが並びかけ、追い比べはそのままゴールまで続きましたが、アタマ差しのいで勝利を手にしました。
「3コーナーから相手は横にいて、少し前に出られているかな、とも感じましたが、そこからしぶといのがこの馬のいいところ。自分の競馬はしていたので、あとは信じて追うだけでした」(塚本騎手)


昨秋にJRAから高知に移籍し、これが地方馬として10戦目。うち9戦を高知所属ではない塚本騎手が騎乗しているのには深い理由がありました。
管理する目迫厩舎は、2024年にレース中の落馬事故でこの世を去った故・塚本雄大騎手の所属厩舎。目迫調教師は「亡くなった雄大のためにできることは、騎手として活躍している兄弟といい関係を築いていくことなのでは」と、昨冬から征吾騎手に騎乗依頼を出し始めました。高知競馬では重賞か準重賞と、同日の他レースでのみ他地区の騎手の騎乗が認められており、サノノエスポは常にそうした舞台で征吾騎手とコンビを組み続けていたのでした。

同じく目迫厩舎×征吾騎手のコンビではミスズグランドオーもお馴染みで、重賞2勝を挙げますが、いずれも他地区での重賞。そのため、今回の珊瑚冠賞が目迫厩舎×征吾騎手で手にした初の高知重賞でした。その特別な勝利を征吾騎手はこう感じています。
「目迫厩舎で勝たせていただいたことを本当に嬉しく思います。高知の重賞制覇は兄・雄大ができなかったこと。この日も兄の鞍を使っていたので、一緒に乗っている気分で挑んでいました」
雄大騎手が亡くなった日も水の浮く不良馬場でした。似たような馬場を見るたび、私も胸が苦しくなる記憶が蘇っていましたが、サノノエスポの勝利という嬉しい記憶が加わりました。
このあとは11月8日黒潮マイルチャンピオンシップ(1600m)を視野に入れられるとのこと。人馬の強気な競馬に期待しています。(写真提供:高知県競馬組合)
