野里美央(のざと・みお)さん=デイリースポーツ記者
~ミスねぶたから競馬記者に~

野里美央さんは、デイリースポーツの若手注目記者の一人。青森県出身で、競馬とは無縁の家庭で育ちました。子どもの頃は、共働きの両親に代わって面倒を見てくれた祖母と、テレビを見て過ごす日々。バラエティやドラマを見ながら一緒に笑い合った時間が、芸能の世界への憧れにつながったそうです。
自分も関わりたいと、テレビ局のアナウンサーを目指して就活をしましたが、「自他ともに認めるドタバタする性格で、競馬で言えば掛かってしまうタイプ。生放送には向かないと気づきました」と苦笑い。一度はメディアをあきらめ、持ち前の明るさを生かして接客業にも興味を持ち、航空会社の客室乗務員を目指しましたが、身長が足りずに不合格。パイロットは身長制限がないと聞き挑戦し、最終試験まで進みましたが、初めて触れたシミュレーターをうまく操縦できずに失敗して、無念の不合格。
再びメディアへの想いが募った頃、デイリースポーツの採用募集告知を見つけました。大学時代に『ミスねぶた』に選ばれ、地元の観光大使として活動した際、青森競輪のPRでデイリースポーツの記者の方と接する機会があり、「あなたは話すよりも書く仕事の方が向いているよ」という言葉が胸に残っていたそうです。「ようやく書く方のメディアに飛び込めました」と振り返ります。
~YouTube制作で16キロの機材とともに〜
2020年に入社し、まずは整理部・編集部に配属しました。22年からは念願の芸能部の記者となり、未知の世界だった歌舞伎を担当。自身の勉強のために、時間があれば歌舞伎座に通ったそうです。23年からはスポーツ部に配属。ボクシングやプロレスを担当し、MLB東京シリーズでは大谷翔平選手らの取材も経験しました。
24年には新設された動画班に配属され、全く縁のなかった競馬の世界へ。競馬新聞『馬サブロー』トラックマン・弥永明郎さんのYouTubeでアシスタントデビューを果たしました。
視聴者からは、競馬初心者が競馬の魅力に惹かれていく姿が好評で、野里さん自身もどんどん魅了されていったそうです。「師匠の弥永さんをはじめ、デイリーや他の記者の方々、調教師、騎手、厩務員さんなどの競馬界の方たちが温かく迎えてくれて、とても優しかったです。わからないことをわからないと言うのは恥ずかしいと思っていましたが、『最初はみんなそうだよ』『背伸びをしなくていい』と受け入れてくださる環境にも支えられています。あと、取材をさせていただいた馬が活躍していく姿がとてもうれしいです。特に25年の日本ダービーでマスカレードボール(のちに天皇賞・秋制覇)が外枠不利と言われていた中で2着になった時は、ゴール前で見ていましたが大絶叫しました。私は何もしていないのに、そういう時は自然に涙が出てきます」。
現在は『デイリー競馬 馬サブロー』のYouTubeで、『野里の競馬人インタビュー』『サラブレッドコーナー』などを担当し、関係者へのアポ取りや撮影を1人で行い、時には動画の編集まですることも。POGコーナーでは司会なども担当しています。さらに紙面のコラムや予想、イベント出演など、多忙な日々を送ります。
YouTubeの撮影は体力勝負。カメラやマイクなど合計16キロの機材を背負い、広いトレセンを歩き回るそうです。夏場は足がつることもあるほどの過酷さですが、「きれいな映像を届けたい」という想いから、撮影はスマホではなくムービーカメラにこだわっているそうです。さらに、馬がマイクの風よけを気にするために工夫をしたり、三脚を避けて手持ちで撮影したりと、試行錯誤を重ねています。1人で担当する大変さはありますが、大人数での取材では引き出せない関係者の素顔を撮ることも強み。地道な努力が実を結び、YouTubeは人気コンテンツへと成長しました。
~競馬が楽しくてたまらないです~
現在はJRA中心の活動ですが、休日やダートグレード競走時には地方競馬にも足を運び勉強中です。「ダート競馬も熱いです。地方から王者も生まれる時代で、今なら大井のディクテオン。25年の東京大賞典やコリアカップも勝ちました。ディクテオンは追い続けたいし、絶対に取材をさせていただきたいです!これから南関東の関係者や馬たちの動画も作りたいです」と意欲を見せます。
最初は競馬の仕事を心配していたという両親も、娘が生き生きと仕事をしている姿に心から応援しているそうです。「今では家族で競馬を楽しめるようになりました。父は一口馬主になって、母とは毎日電話で話しているのですが、私の仕事の話を喜んで聞いてくれます。『いい仕事に出会えて本当に良かったね』と言ってくれたのがうれしかったです」。
現在は29歳となり、「34歳までは自分への投資期間と決めて、35歳からは貯金を始めます(笑)。これからもっといろんな競馬場や厩舎に行ってYouTubeを充実させたいですし、いただいた仕事には何でも挑戦したいです。ファン目線は大切にしながら、騎手や馬のストーリーを伝えていく記者に成長していきたいです」と目を輝かせていました。
「競馬が楽しくてたまらない」という野里さん。これから10年後、20年後、どんな競馬記者になっているのだろうと期待が高まります!
