西優哉(にし・ゆうや)騎手=大井
~26歳のルーキー~

大井競馬場の澤佳宏厩舎に所属する西優哉(にし・ゆうや)騎手は、4月1日付で地方競馬の騎手免許を取得し、26歳でデビューを果たしました。
西騎手は長野県上田市出身。小学校高学年の時、競馬が好きだった父の影響でテレビ中継を見るようになりました。当時から小柄で、騎手の格好良さに憧れを抱き、騎手の道を志したそうです。子供の頃から体を動かすことが大好きで、乗馬、陸上、サッカー、水泳、スキー(2級)、アーチェリーなど多くの競技を学び、「乗馬経験は騎手になってからも生きているし、水泳や陸上は体力、アーチェリーでは集中力を養うこともできました」。
16年4月に地方競馬教養センターの96期騎手候補生として入所しました。しかし、卒業間近の競馬場実習を行っていた頃、なかなか体重が落ちないことに悩み、一度は騎手の道を断念。その後は北海道の社台ファームのスタッフとなり、馴致、育成、休養馬に携わり、JRA重賞ウイナーたちの背中を経験するチャンスにも恵まれたそうです。
牧場生活も非常に充実したものでしたが、自身が携わった馬がレースで走っている姿を見て、再び騎手になりたいという気持ちが芽生え、大井競馬場でリスタート。19年7月から澤厩舎の調教専門厩務員として、調教は毎朝2時から8時半まで約18頭から20頭に乗り、午後は厩舎作業のお手伝い。競馬開催中は所属馬の装鞍に立ち合い、レース後には騎手たちから直接話を聞いて、次走に向けた馬づくりの参考にしてきたそうです。パトロールビデオを見て、レース直後に騎手からリアルな話を聞くことも、西騎手にとっては貴重な時間だったことを振り返ります。
~6回目の試験で合格~
毎年、『一発試験』という実務経験者などが騎手免許試験を直接受けられる制度でチャレンジし、6回目の試験でついに合格。大井競馬場に来てから6年半が経っていました。「不合格になるたびに、受かっていれば4月からはレースに乗れていたのになぁという思いがずっとありました。妻と子供の支えがあって頑張ることができました。今はワクワクと不安が半分ずつ。調教や教養センター時代は多頭数になって密集した状態で乗ったことがないので、今度はどういう景色になるんだろうと思っています」。

4月13日の大井1Rがデビュー戦となり、ファイストスの手綱を取り、2番手から進めて7着でした。レース後、集まった報道陣に向けて「騎乗は50点です。反応も良かったので前に行きましたが、タイトに回れないところもあって想像とは違いました。他馬との間隔もイメージとは違ったので、そこは課題です」と振り返りました。
夢の一歩を踏み出したことについては、「緊張していたので、昨日の夜は寝つきが良くなくて、朝の攻め馬でも落ち着きがありませんでした。これまでお客さんの前で乗ったことはなかったのでプレッシャーでしたが、やっとこの舞台に立てたことは、とてもうれしくて頑張ってきてよかったと思います。無事に終わってホッとしましたが、今回失敗したことは修正したいです」と冷静に振り返っていました。この記事を書いている段階では最初の開催を終えたところで、10番人気馬を2着に持ってくるシーンも見られました。3キロの減量(▲)を生かし、今後もどんな騎乗を見せてくれるか楽しみです。
~西騎手の強み~
西騎手は牧場時代に馴致や育成を行うほか、出産の見学をしたこともあるなど、様々な経験を積んできました。「馬が競馬場に至るまでを、いろいろ学ぶことができました。馬が走る・走らないというよりも、ここに来るまでにどれだけの人が携わっているのか、どれだけ大変だったか、いろんな方面からの気持ちを考えながらレースに乗ることができると思っています。気の難しい馬に乗った時でも、この子はどうしてそれが嫌なのか、一歩ひいたところから考えられる引き出しがあるのも強みだと思っています」と語りました。

昨年の東京大賞典では大井のディクテオンが地方所属馬として20年ぶりに勝利し、西騎手も非常に感動したそうです。自身も東京大賞典やJRAの重賞を制したいという大きな目標を掲げます。さらに、「馬の気持ちを理解してあげながら、一番大きく動けて速く走ることができるように、能力を最大限に引き出せる騎手になりたいです」と力を込めました。
一度はあきらめた騎手になる夢をついに叶えた西騎手。次の夢に向かい、着実に進んでいってほしいと思います。西騎手、デビューおめでとうございました!
◆勝負服 デザインは、白、黒袖赤一本輪、黒鋸歯形。このデザインを決めるにあたり、「澤調教師は『自分が一番格好いいと思う勝負服にするのが一番いい』と言ってくれました。地元の上田市で有名な武将は真田幸村なので、その家紋の六文銭をデザインにしようと思いましたが、同じ苗字の西啓太騎手(桃、紫玉霰、桃袖)と丸かぶりになってしまうので(苦笑)。最終的には甲冑をイメージして、自分の使いたい色で決めました」
◆家族 西騎手の奥様・里奈さんは大井競馬場の誘導馬騎乗者。元々は社台ファーム時代の同僚で、西騎手が騎手になる夢を叶えるため、里奈さんも上京して支え続けてきました。当日は里奈さんが誘導馬に騎乗し、西騎手の勝負服カラーの飾りをつけてエスコート。「いつも誘導馬に乗る姿を下から見上げてきましたが、今度は違う立場になって、もっと頑張らなきゃいけないなと思いました」(西騎手)。
