「ワクワクした日々だった」ミスズグランドオー(高知)の挑戦


今年は大きな希望を胸に挑戦した地方馬もいました。ミスズグランドオー、牡8歳。JRAオープンから大井を経て昨夏、高知に移籍してきたサウスヴィグラス産駒で、地方全国交流重賞2勝を挙げます。逃げ・先行で序盤から積極的なレースをし、押し切るのがこの馬の形。
主戦・塚本征吾騎手は同日に名古屋の重賞で騎乗があったため、白羽の矢が立ったのは高知の若手有望株・井上瑛太騎手。高知ダート1400mでは2走前にレコードに0秒1まで迫るスピードを見せた相棒との挑戦で、「ワクワクしています」と佐賀にやってきました。「やることは一つだけ。この馬の競馬をします」と宣言し、54キロの軽ハンデを生かしたレースが期待されました。
ゲートが開くと、それを体現する走りと井上騎手のアクション。しかし、JRAの実績馬たちは楽にスピードに乗ると、内から外からミスズグランドオーを抜かしながら1コーナーに入っていきました。先頭集団の一角には取りつきましたが、そうなると厳しい形になり、3コーナー手前から手応えが怪しくなって6着でのゴールとなりました。

「一歩目は速くて『ハナに行けた』と思ったのですが、JRA馬は行き脚が違いました。どんどん前に入られてしまいました」
強豪馬との戦いを終えて、肩を落とす井上騎手に対し、目迫大輔調教師は「勝ちに行っての競馬だから、悔いはないよ」と声をかけました。
「セコい競馬をしても佐賀に来た意味がないです。レコードに迫るタイムを持っていたので、『やれるかも』と考えていましたが、甘かったです。厩舎としてはダートグレード競走初出走で、勉強になりました。あのペースで行って、直線でさらに後ろを離すんですから、上位馬たちは本当にすごいです」
歯が立たなかった結果は悔しさが残りますが、JRA馬との力関係を体感することもできました。それは人馬にとって貴重な経験になるでしょう。井上騎手も遠征でのダートグレード騎乗は昨秋の兵庫ジュニアグランプリに続き2回目。厩舎も騎手も、ここから挑戦が続いていきます。多くの挑戦の末に地方馬がダートグレードで勝ち、日本馬が世界の舞台で勝利を手にしたように、2人が大舞台で結果を出す日がいつか訪れることを願います。
