~名古屋グランプリ2着オディロン 調教や装蹄方法を変えてさらなる高みへ~


5月4日の名古屋グランプリ(JpnⅡ、1着賞金4000万円、2100m)はアウトレンジ(牡6、父レガーロ、母クイーンパイレーツ=キングカメハメハ、新冠・㈱ノースヒルズ生産、馬主・寺田寿男氏、栗東・大久保龍志厩舎)が勝利。GⅠ/JpnⅠで上位争いを続けてきた馬が貫録を見せました。
当コラムではタイトルの通り地方馬にスポットを当てて振り返ります。
惜しかったのは2着オディロン(牡7、父キタサンブラック、母パラフレーズ=ピヴォタル、浦河・笠松牧場生産、馬主・橋元勇氣氏、兵庫・森澤友貴厩舎)。4コーナーで外からいい勢いで脚を伸ばし、差し切るかと思われましたが、アウトレンジに並びかけるとその分だけ相手も伸び、クビ差及びませんでした。吉村智洋騎手は悔しさをこう話します。

「3~4コーナーで勝てる、と思いましたけど、アウトレンジの横まで行くとずっと相手に前に出られていました。展開もすべてこちらに向いていたんですけど……」
それは森澤調教師も同じ思い。前走・ダイオライト記念JpnⅡでダートグレード初制覇を果たし、今回は戦前から「過去イチのデキ」と自信を持っていただけに、悔しさが募りました。
そうした中でも、今回は一つの収穫がありました。それは調整過程。
これまでは発症歴のある繋靭帯炎再発を懸念し、近郊牧場の坂路を積極的に活用してきました。今年に入り、佐賀記念出走を目指す過程においても、いつも以上に坂路でしっかり乗り込みを進めてもらいました。ところが、負荷を強めたことで後肢に疲れが見られ、佐賀記念は自重。回避を決めた後、後肢への負担を考えて坂路の選択肢は取らず、園田競馬場に在厩で調整を続けることになりました。とはいえ前肢の繋靭帯炎が再発しないかも気にかかります。その狭間で揺れ動きながら、観察やケアを慎重に行って勝ったのが前走の3月ダイオライト記念でした。
ダイオライト記念後は1週間をケアに充て、近郊牧場にて2週間弱、リフレッシュをメインに放牧に出しました。放牧先の坂路では「14~15秒のところを1本半くらい乗ってもらいました」と森澤調教師。
そして園田競馬場に帰厩後、3本の追い切りを重ねて名古屋グランプリに向かう調整方法としたのでした。フラットな馬場で調教ができるようになった要因を森澤調教師はこう分析します。
「年齢を重ねて、繋靭帯炎を克服したことが一つ。また、昨年11月末の園田金盃の頃から蹄の削り方を変えるなど、装蹄師がオディロン仕様の装蹄にしてくれて、前肢への心配がなくなりました。厩務員もしっかりケアをしてくれて、5~6歳の頃に無理をしなかったことが今に生きてきているのではないかなと思います」
最終追い切りは相手を約20馬身ほど追いかける内容。20馬身はちょっと言い過ぎかもしれませんが、小回りの園田競馬場で見ていると「本当に届くの?」と不安になるほどの差でした。それでもさすがダートグレード優勝馬。グングン加速すると迫力の走りで、ゴール板を通過する頃にはわずかに先着しており、さらに森澤調教師は「併走相手が思ったほど動かなかったですが、タイムはまずまずです」と話すほどでした。


こうして繋靭帯炎再発の不安も、その影響で生じた後肢の疲れも吹き飛ばし、「過去イチのデキ」と胸を張れる状態で名古屋グランプリに送り出していたのでした。
僅差2着を受けて森澤調教師はこう話します。
「これだけ結果に繋がり、スタッフも僕も自信が持てました。この後はおそらくひと息入れて、JBCを含めてJpnⅠを狙いたいと強く思っています」
着差がわずかなだけに、大きな悔しさも胸に抱えますが、GⅠ/JpnⅠで幾度も好走歴のあるアウトレンジ相手に食い下がってのもの。調整方法を少しずつ変えてきた中で価値ある2着でもあったと思います。
秋、金沢で行われるJBCの大舞台で花開く瞬間を心待ちにしています。
