~騎手と子どもの稲刈り体験 高知けいばで14回目~

 7月29日、高知県南国市の田んぼで高知競馬の騎手と地元子どもたちによる稲刈りが行われました。赤岡修次騎手が2007年ワールドスーパージョッキーズシリーズ(現ワールドオールスタージョッキーズ)で総合3位になった後、「社会貢献活動をしたい」との思いに、高知県南国市の農家・吉本正仁氏が賛同したことからスタート。観劇や様々な体験活動を行うNPO法人・高知市こども劇場の子どもたちを招いて春に田植えを、夏に稲刈りを行う恒例行事となり、今年で14回目を迎えます。

 高知空港のすぐ隣に広がる田園地帯。その一角に午前11時前、調教を終えたばかりの騎手と、親子連れが続々と集まってきました。

 騎手と子どもたちがペアを組み、子どもたちに分かりやすいよう、騎手は自身の勝負服が描かれた名札を身に着けます。例年、鎌を使った手刈りとコンバインに乗車しての機械刈りの2種類を体験するのですが、近年の酷暑は熱中症の危険を感じるほど。そこで、今年は手刈りのみで、その時間も短縮。田んぼ脇にはテントを建てて、スポーツドリンクと凍らせたタオルを用意し、日陰ですぐ休めるように対策しました。

 そんな暑さでも子どもたちは元気いっぱい。男の子は田んぼに着くなり、「あ! オニヤンマがいる」と嬉しそうに木の枝を振り回しました。

 今年4月にデビューした塚本直之騎手は、デビュー直前に行った田植えに続いての参加。田植えではイタズラな顔をした先輩騎手に押されて、田んぼに転び泥んこになっていました。

 「田植えでは新人の洗礼を受けました(笑)。今日はそのリスクがないのでいいですね」と笑います。兄弟全員が騎手の塚本五兄弟の末っ子で19歳。子どもと話す際にやや戸惑いを滲ませながらも、積極的に喋りかけていて、純朴さを感じました。

 そして、毎年活躍するのが石本純也騎手。一部ファンの間では「農協の石本さん」の愛称で親しまれています。その理由は写真から一目瞭然。地方競馬教養センターに入所前、園芸高校に通っていたことがあり、その実習服を着ての参加です。胸元には「石本」と刺繍され、あまりの似合いっぷりに、この姿で初めて登場した時には農家の吉本氏から「どこの農協職員かと思った」と驚かれるほど。本人は「真剣に取り組んだ方が楽しいだろうから」との思いを持ちます。

 何年も続けて参加する子どもたちもいるほどの大人気イベントで、慣れた手つきで稲刈りをする子どもたちを見ると、頼もしさを感じます。その横で刈られた稲を運び、積み上げていく騎手たち。

 その後、収穫したお米で炊いたご飯でおむすびを作りました。コロナ前は恒例だったおむすび作りは3密を避けるために中断していましたが、再開。塩をたっぷりかける子、おかわりの手を挙げる子など、思い思いに大地の恵みを味わっていました。

 農家の吉本氏によると「今年のお米は満点!」。収穫されたお米は「ファーストキッス(命名:赤岡騎手)」と名付けられ、各所へ贈呈される予定です。

 高知市こども劇場は「子どもたちには、いろんな人と出会って豊かに育ってほしい」と願い、発起人の赤岡騎手は「今年はコロナ後、初のおむすびを作って食べることができ、来年以降も続けられたらと思います」と話します。

 公営競技と子どもは、日常生活ではなかなか交わることがありませんが、こうした活動を通じて、子どもたちの思い出が残れば、と願います。