【スプリンターズS】村田牧場から2頭目GⅠ馬誕生!ピューロマジックがスプリンターズS制覇

 第60回スプリンターズステークス(GⅠ、1着賞金1億7000万円、中山芝1200m、9月27日)は、新冠町村田牧場生産のピューロマジック(牝5、父アジアエクスプレス、母メジェルダ=ディープインパクト、馬主・㈱スリーエイチレーシング、栗東・安田翔伍厩舎)がGⅠ初制覇を果たした。22年セレクションセールにおいて2700万円で落札された。重賞は今年3勝目で通算6勝目。アジアエクスプレス産駒もGⅠ初制覇で重賞は7勝目。セレクションセール取引馬のGⅠ制覇は23年4月に大阪杯を制したジャックドール以来3年5カ月ぶり8頭目。村田牧場生産馬によるGⅠ優勝は09年に春秋のスプリントGⅠを制したローレルゲレイロ以来17年ぶりだった。


 村田牧場は1930年(昭和5年)創業で、新冠を代表する個人牧場。2頭のGⅠ馬の他、ディープボンドやノースブリッジ、ユキノビジンなど個性的でファンに人気の活躍馬を多く生産してきた。

 ピューロマジックを中山で応援した同牧場の村田康彰専務は「まずは無事に走ってくれて良かったと思いました。安心と驚きが入り混じりました。陣営が苦労しながら調整してくれました。オーナーも理解して、使うレースを選んでくださった。本当に皆さまのおかげです」と関わった全ての人に感謝した。

 ピューロマジックの4代母カスパースカイゴールドは、96年キーンランドノベンバーセールで購買した。その時お腹にいたタバスコキャットの牝駒が3代母のメジェール。当時、カナダで英語を学んでいた村田専務も、現会長の村田繁實氏とともにセールに参加していた。メジェールはJRAで5勝を挙げ、繁殖としてカスパースカイゴールドの牝系を広げた。村田専務は「あれからちょうど30年たって、ここ新冠で4世代ずっと育ててきた牝系がGⅠに届いたことには、深いものがあります」

 牧場の礎を築いてきた牝系を守りながら、試行錯誤を重ねてきた。放牧地の使い方を根本から見直し、獣医師や飼料業者と相談しながら牧場に合う餌を探した。血統面の改良にも取り組んだ。「GⅠの壁は厚い。年間20頭前後を生産する牧場がGⅠを勝つのは難しい時代になったと感じていました。でも、だからといって腐らずに、強い馬をつくりたいとスタッフと一緒にやってきました」と村田専務。

 その続けてきた努力が今夏、大きな実を結んだ。セレクトセール当歳セッションでピューロマジックの半弟メジェルダの2026(父サートゥルナーリア)が5200万円、セレクションセールで同メジェルダ2025がセール最高価格の8000万円で取り引きされた。ピューロマジックは函館スプリントSとアイビスサマーダッシュを勝ち、セントウルS2着でサマースプリントシリーズの王者に輝いた。村田専務は「厩務員さんが1人でも歩かせられるようになって、気性面も相当大人びてくれました。心身ともに充実期を迎えたなと思いました」。

 しっかりした歩様でゆっくりと周回するパドック。むきにならず、ゆったりと走っていた返し馬。スプリンターS当日に見たピューロマジックの一挙手一投足は、同馬とともに牧場が描いてきた成長の軌跡に見えた。

 牧場では母メジェルダが健在で、近親の繁殖牝馬も残っている。30年前に海を渡ってきた血は、これからも受け継がれていく。「この牝系から代表産駒といえる一頭が出ましたが、まだまだつないで、枝葉を伸ばしていきたい」。17年ぶりの栄冠を村田専務はそう喜んでいた。