~JBC船橋、ファーンヒル優勝!ジョッキールームに軽食の試みも~
11月3日、船橋競馬場でJBC3競走が行われました。今春、リニューアルされた船橋競馬場はJR南船橋駅から歩いて最初に現れるキャロッタ門が広々とした綺麗な雰囲気に生まれ変わり、道行く人が興味を示して立ち止まるほど。場内の芝生広場にはズラッとベンチが並べられ、寛ぎながら目の前の大型ビジョンで競馬観戦ができるようになっていました。



JBCスプリントではファーンヒル(牡6、大井・荒山勝徳厩舎、新ひだか町・谷岡牧場生産)が先頭を守り抜いて逃げ切り勝ちを決めました。JRAオープンクラスから地方に移籍したことによってゲート内で尾持ちができるようになり、スタートがさらに良化。それが移籍後3連勝に繋がりました。
荒山調教師はこう振り返ります。
「1200mでもやめるところがあると聞いていました。移籍初戦に習志野きらっとスプリント(船橋1000m)を使って、よければ同舞台のJBCへというプランを立てました。移籍初戦後、笹川翼騎手に距離について聞くと『1000mに対応でき、やめる面もなかった』とのことで、JBC出走を決めました」
ゴールの瞬間は自身が「ふわっとした」と嬉しさと驚きを表現した荒山調教師。来年はサウジやドバイといった海外遠征も視野に入っています。

JBCクラシックでは逃げたサントノーレ(大井)が地方最先着の3着、アラジンバローズ(兵庫)が6着でした。
アラジンバローズは昨年のJBCではスプリントに出走して3着でしたが、今年はクラシックに矛先を変えました。その理由は道中の行きっぷり。今夏のサマーチャンピオンJpnⅢでこれまでほどの前進気勢が見られなかったことから、新子雅司調教師は距離延長を決めました。振り返ると、JRA時代は1700m~1800mで4勝を挙げた馬。兵庫移籍直後もその距離カテゴリーを使われていましたが、地方馬同士のペースでは引っ掛かることも多かったため、距離短縮して昨年のサマーチャンピオンを勝ったという経緯。表現としては「距離を戻した」ということになります。戦前から「JBCクラシックで5~6着に入れれば、東京大賞典に向かいたい」と新子調教師は青写真を描いており、状態がいい場合は11月27日園田金盃を挟む可能性もあります。
~サウジで得た情報がJBCで生かされた~
さて、JBCから遡ること8カ月前。イグナイターとともにサウジアラビアに遠征した時のことでした。リヤドダートスプリントで騎乗する笹川騎手、マネージャーの川島光司氏、地方競馬全国協会職員、筆者の4名で検量室やジョッキールームを視察する機会を得ました。
その際、川島氏が「海外の大レースではここにスープなど軽食が並んで、ジョッキーたちはレースの合間に口にすることができます」と紹介。「減量しているジョッキーでも、スープやゼリーなら口にできることもありますし、体重が気にならない人はもう少し固形物を食べたりします」と続けました。
これはすごくいい取り組みで、ぜひ日本でも行ってほしいなと筆者が内心思っていたところ、笹川騎手も「JBCあたりで、どうでしょう!?」と地全協に提案。この視察内容は帰国後、地全協内で共有され、JBC開催にあたり船橋へも情報提供が行われました。
その後、JBC開催に向けた会議に川島氏も出席して協議を重ね、船橋の尽力があり実現。スープ3種やフルーツ、サラダのほかローストビーフやおにぎり、スイーツなどもあり、10品目以上の豪華さ。ブリーダーズカップ騎乗を終えて当日早朝に帰国したばかりだった坂井瑠星騎手は「お腹が空いていたので、軽食が用意されていて嬉しかったです。僕は体重は大丈夫なので、おにぎりやスープをいただきました」とのこと。同じくアメリカから帰国直後の吉原寛人騎手の場合は体重との兼ね合いがあり「ゼリーやフルーツ、スープを飲みました」とのこと。二人ともドバイやオーストラリア、韓国など海外での騎乗経験があり、海外の大レースでは実施されることも多いそう。「ぜひ続けてほしいです。なんなら、毎日でもやってほしいくらい」と吉原騎手は笑いました。
レースの合間の栄養補給はアスリートにとって大切な仕事の一部。JRAでは騎手も利用できる食堂があり、軽食からガッツリメニューまで用意されています。また吉原騎手によると、大井では普段から菓子パンやゼリーが用意されるようになったそうですが、地方競馬場によっては騎手が利用できる食堂・売店がない所も珍しくありません。地元騎手なら勝手が分かっているため困ることは少ないでしょうが、遠征で来た騎手がバレットに「お腹が空いたから食料を買ってきてほしい」と頼む場面を見たこともあります。以前に比べて人馬の交流が増えたため、簡易的な形でも何か対策できるといいのかもしれません。
そして、JBC当日には「ダート競馬の祭典」の雰囲気を盛り上げるためにも、今回のようにジョッキールームのケータリングは続けてほしい試みだと感じます。
