池谷匠翔(いけたに・たくと)騎手=川崎
~デビューから7年、ついに重賞初制覇~

5月6日船橋11Rで行われた3歳馬の重賞・東京湾カップ(1着賞金2000万円、1700m)は、池谷匠翔騎手が手綱を取った4番人気ララメテオ(牡、父フリオーソ、母フクサンローズ=アグネスデジタル、新ひだか・沖田忠幸氏生産、馬主・フジイ興産㈱、川崎・酒井忍厩舎)が勝利を飾りました。人馬ともに念願の重賞初制覇。池谷騎手は「入厩した時から調教から乗せてもらっている馬ですし、言葉に言い表せないくらいうれしいです」と満面の笑みを浮かべました。
池谷騎手は神奈川県川崎市出身の24歳。20年4月に川崎競馬場からデビューし7年目を迎えました。父は元体操選手の池谷直樹さん、叔父が池谷幸雄さんというアスリート一家。父の友人に馬主様がいたことがきっかけで、小学校6年生の時に北海道で馬に乗る機会があり、馬と触れ合う楽しさを知って騎手を目指したそうです。子どもの頃から体操は習っていたものの、父から『進路は自由に決めなさい』と言われて育ったため、池谷騎手も2人の弟さんたちもそれぞれの道を歩んでいるそうです。

騎手生活を順調に送っていましたが、一時は騎乗馬が激減。「どうしたら騎乗馬が増えるかなと考えた時に、調教に多く乗ろうと思いました。どんな癖があって難しい馬でも絶対に断らないことをモットーにしています」。
~伸ばしてあげたいと思う子~


川崎所属馬が暮らす小向トレーニングセンターで、毎朝2時30分から9時頃まで30頭近い馬の調教に乗っているそうです。猛暑日も極寒日も暴風雨の日も自身の体調が優れない日も、ほとんど休みなく乗り続けてきました。そんな頑張ってきた姿は関係者も見ています。
酒井調教師は「性格がいい子で、身体能力も高いです。調教もちゃんと言ったことをやってくれて丁寧に乗ってくれるし、伸ばしてあげたいなと思いました」と話し、そこからララメテオとのコンビが始まりました。「調教から乗ってくれれば馬のことをわかってくると思うので、あえて調教から乗ってもらって、馬の癖をしっかり把握してもらっていました」とのこと。
池谷騎手は「2歳の乗り始めの時は口向きや変な癖がつかないように、特に慎重に乗ってきました。最近ではしっかり負荷をかけた調教で、馬の力をつけることを意識して乗っています。頭がいい馬なので、レースを想定したハミの取らせ方を覚えさせるようにしてきました」と振り返ります。
東京湾カップでは中団を追走して3コーナー付近で外から一気に進出。直線で力強く抜け出し、後続に1馬身差をつける内容でした。「手応えは良くて、展開的にも向いていると思いました。前に行った馬たちの伸びが良くなかったので、想定よりも早く仕掛けることになりましたが、手応えも良くて直線で抜け出せると思いました。(外を回ったのは)外の方が伸びのいい馬場だったこと、スピードを落とさずゆったり回って、内側で他の馬に絡まれたくなかったからです。最後は誰も来るなと必死になって追いました。重賞をずっと勝ちたいと思っていても、なかなか勝ち切ることが難しかったですが、まだ実感がわかなくてフワフワしています」とニッコリ。
翌朝の調教で、たくさんの人たちから『おめでとう』と祝福を受けたことで、初めて重賞勝ちの実感がわいてきたといいます。池谷騎手の一番のファンでもある家族の様子について、「父をはじめ家族もめちゃめちゃ喜んでくれました。おばあちゃんも泣いていたそうです」とはにかみました。
~今度は地元の川崎競馬場で重賞Vを~

管理する酒井調教師は騎手時代に数多くの重賞勝ちを収めた名手ですが、23年6月開業後初めての重賞勝ちに、「自分が勝つよりも、池谷と勝てたということがとてもうれしいですし、ホッとしています」と笑顔を見せ、「優しい性格なので、気持ちを出してくれればさらにいいと思います。これがきっかけに、もっと闘志を出してくれるようになれば」とエールを送りました。
池谷騎手も「今回の重賞勝ちで、普段から心の余裕が出てきました。勝負どころも焦らず馬のリズムに合わせて乗ることができるようになってきたと思います。今後は地元の川崎競馬場で重賞を勝ちたいです」と力を込めました。
現在、ララメテオは滋賀県チャンピオンヒルズさんへ放牧休養に出ているそうです。今後は黒潮盃(8月13日・大井)から戸塚記念(9月9日・川崎)を予定しているそうです。
積み重ねてきた努力が実を結び、更なる飛躍へ大きな一歩を踏み出した池谷騎手。これからの活躍が楽しみです!
