シアンモア記念・東北優駿・イーハトーブM・あすなろ賞

シアンモア記念

 今号は岩手競馬5、6月の看板2レース報告から始めたい。JRAに例えるとGⅠ競走(岩手ではM1格)。まずは5月18日、古馬の根幹競走第一弾の「第50回シアンモア記念」が盛岡ダート1600mを舞台に行われた。今年から1着賞金が1000万円から1500万円へ増額され、10頭(グローリーグローリは出走取り消し)によって覇を競った。

 優勝は3番人気ヒロシクン(騸6、父ドレフォン、母エスプリドパリ=ハーツクライ、白老・㈲社台コーポレーション白老ファーム生産、馬主・瀬谷隆雄氏)。大外から果敢に手を主張して自らハイペースを形成。1番人気に支持されたフジユージーンは4番手を追走し、3コーナー過ぎから早めにスパートをかけたが、ヒロシクンが上がり3ハロン36秒7でフィニッシュ。フジユージーンの追撃を0秒1差で封じ、赤松杯に続いて重賞2連勝を飾った。

 佐藤雅彦調教師「ジョッキーには思い切って乗ってこいと伝えた。これだけのメンバーがそろったので、運がいい馬が勝つだろうなと思っていたが、それがヒロシクンだった。次走は一條記念みちのく大賞典へ直行。2連覇を狙いたいと思っている」

 ヒロシクンは昨年の4歳以上最優秀馬で、同じく年度代表馬に選出されたフジユージーンを相手に今年は2戦2勝。先輩の貫禄を見せつけ、春のマイル王に君臨した。

 一方、2戦連続で2着に敗れたフジユージーンの瀬戸幸一調教師は「高松亮騎手にうまく乗られた。今回は赤松杯を叩いて上昇感を持って臨んだが、2月の帰厩後順調さを欠いたのが尾を引いたかも知れない。今後の岩手古馬はマーキュリーカップを頂点とした2000m路線、クラスターカップへ向けた短距離戦が主流。フジユージーンに合うレースがないので、放牧に出て態勢を立て直したい。最大目標の南部杯へ向け、逆算してローテーションを考えたい」

 2番人気に支持されたヘリオスは4着。前哨戦の栗駒賞に続いて連続4着に終わり、前途に暗雲が立ち込めたが、後述する重賞・あすなろ賞を快勝した。

東北優駿

 続いて6月8日。舞台は水沢競馬場へ替わり、岩手クラシック二冠目「第33回東北優駿」(1着賞金1500万円)が距離2000mで行われた。

 勝ったのはリケアカプチーノ(牡、父トランセンド、母ブラウンテヌート=シンボリクリスエス、浦河・金石牧場生産、馬主・稲場澄氏)。ブリスタイムが逃げ、2番手にユウユウコラソン。リケアカプチーノはスタートダッシュがひと息だったが、1周目4コーナーでは3番手外まで押し上げた。

 ブリスタイムは玉砕の大逃げ戦法を取ったが、向こう正面で失速。替わってユウユウコラソンが先頭に立ったが、3コーナー過ぎにリケアカプチーノが早々に交わして独走状態。中団をキープしたサンロックンロールが3コーナーからスパートをかけて2番手まで進出したが、リケアカプチーノが7馬身差でゴール。待望の初重賞を手にした。

 菅原勲調教師「前回(ダイヤモンドカップ)と同様、いい状態で臨めた。スタートが良くなかったが、2000mだからどこからでも競馬ができると思っていたし、今回のメンバーでは力が違う。ここを勝つのが一番の目標だったのでホッとした。もしかすると次はみちのく大賞典へ挑戦する可能性もあるが、3歳ならやまびこ賞になると思う」

 リケアカプチーノはサマーセール出身馬で高知デビュー。3歳交流・スプリングカップ(名古屋)2着を含め、8戦5勝2着3回から転入。初戦のダイヤモンドカップでは大井のシーソーゲームの0秒6差2着を確保した。今回は岩手同士の戦いで能力の違いが歴然。単勝1・4倍の1番人気に堂々応えた。

イーハトーブM

 前後するが、5月25日は3歳重賞「第13回イーハトーブマイル」(1着賞金350万円、盛岡ダート1600m)。ダイヤモンドカップと東北優駿の狭間でメンバーも手薄だったが、1番人気に支持されたユウユウコラソン(牡、父コパノリチャード、母スカイワード=ティンバーカントリー、新冠・サンローゼン生産、馬主・北原大史氏)が2番手キープから3角先頭に立ち、そのまま押し切って完勝。重賞挑戦7度目で初タイトルを獲得した。

 佐藤祐司調教師「小柄な馬なのでちょっと見劣るところはあるが、すごく頑張って走っている。ここまできたら重賞に挑んで行くことになるだろうしし、もうワンステップ上へ行ってくれることを考えると、東北優駿にぶつけていくのが筋でしょうね」

 ユウユウコラソンは冒頭で報告した東北優駿でも見せ場を作って3着。岩手デビュー馬で最先着を果たした。

あすなろ賞

 6月1日は一條記念みちのく大賞典トライアル「第26回あすなろ賞」(1着賞金350万円、盛岡ダート1800m)。優勝はヘリオス(騸9、父オルフェーヴル、母アンジュシュエット=フレンチデピュティ、浦河・桑田牧場生産、馬主・佐野幸一郎氏)。ダート1800mは中央時代に2度とも着外だったが、今季一番の大物転入馬が待望の勝利を飾った。

 千葉幸喜調教師「転入2戦が案外の結果だった。鞍上には2、3番手につけてほしいと言いましたが、つまずいたからね。中団もやむなしだったが、うまく乗ってくれた。それと今回は連闘なので運動量を控えたが、結果的にそれも好走要因だったかもしれない。次走予定は登録を済ませたさきたま杯だが、みちのく大賞典の優先出走権も獲得したので、改めてオーナーと相談して決めたいと思っている」

 今回の水沢競馬は7月1日で終了。7月6日から再び盛岡競馬場へ移り、ダートグレードシリーズがスタート。さらに待ちに待った芝競走も始まる予定だ。


松尾 康司 まつお こうじ

1958年青森県三戸町出身。
 いわて馬テシオ、週刊テシオ情報局編集長。学生時代にアルバイトをした牧場でトウケイニセイと出会い、馬と競馬に魅せられ、岩手競馬の情報紙に入社。 以来、岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を重ねてきた。1997年に地方競馬初の専門情報誌「テシオ」も立ち上げ、現在もさまざまなメディアで活躍中