サファイア賞・早池峰SS・みちのく大賞典・ハヤテスプリント

 最初の報告は盛岡芝競走の再開。7月6日から舞台は水沢競馬場から盛岡競馬場へ移行し、さっそく開催替わり初日1Rから実施。2歳新馬・ファーストステップ(盛岡芝1000m)でスタートした。

 1着はデンコウセッカ(牝、父タワーオブロンドン、母ドナライトニング=ロードカナロア、平取・清水牧場生産、馬主・山本武司氏、櫻田浩樹厩舎)。今年のトレーニングセール出身馬で好位キープからメンバー最速の上がりを使って完勝。59秒1の好タイムをマークした。

 昨年は6月30日から芝競走が始まったが、予定通り実施できたのは合計8レース。重賞はサファイア賞、いしがきマイラーズの2レース、2歳新馬は1レースのみ。芝走路悪化のため、7月21日の重賞・いしがきマイラーズを最後に、すべて芝からダートへ変更した。今年、芝が再開できるか不安視する意見もあったが、関係者が議論した末、続行を決定。芝走路の管理を徹底し、事前に模擬レースも実施。騎乗した騎手の意見などを確認してゴーサインが出された。

サファイア賞

 7月6日のメイン12Rには3歳重賞「第18回サファイア賞」(1着賞金350万円)が行われた。昨年まで芝2400m条件だったが、今年は芝1700m。3歳地方競馬全国交流「第25回オパールカップ」(1着賞金500万円、8月5日)トライアルに位置づけられた。

 優勝はサンカリプソ(牝、父タワーオブロンドン、母ラヴィアージュ=クロフネ、日高・山田政宏氏生産、馬主・㈱加藤ステーブル)。8番人気の低評価を覆して見事な逃げ切り勝ち。鞍上・坂井瑛音騎手は昨年デビューしたばかり。芝初騎乗で重賞初制覇を果たした。

 菅原勲調教師「逃げ馬なので前に行く戦法だとは考えていたが、距離的にも長いかなと感じていたし芝も合うかどうか分からなかった。いいペースで逃げることができたから、うまく勝てたのだと思う。ダートだとこれくらいの距離は持たないが、芝だから我慢できた。トライアルを勝ったので次はオパールカップに向かうことになると思う」

早池峰SS

 続いてレギュラーの重賞報告。前後するが、6月15日、岩手競馬の最短距離重賞「第10回早池峰スーパースプリント」(1着賞金400万円)が水沢850mで行われた。

 勝ったのはエイシントルペード(牡、父エイシンヒカリ、母エイシンクローバー=キンシャサノキセキ、浦河・栄進牧場生産、馬主・平井克彦氏)。逃げたラストバリオンの2番手追走から4角で早め先頭。そのまま押し切り、門別2勝、園田3勝から転入初戦を重賞制覇で飾った。

 鞍上は、船橋から短期免許で騎乗中の山本聡紀騎手。人馬ともうれしい重賞初制覇となった。

 板垣吉則調教師「園田820m、姫路800mを勝っているので適性はあるだろうなと思っていたが、気性的に紙一重。園田時代は自分の競馬ができないとモロさを出していたそうなので、今回のトレードも良かったと思う。今日みたいに揉まれない競馬ができれば強さを発揮する。次走は岩鷲賞へ向かう予定だが、自分の競馬ができるかどうかに尽きると思う」

みちのく大賞典

 6月29日は古馬伝統の「第53回一條記念みちのく大賞典」(1着賞金1500万円、水沢2000m)。優勝はリケアカプチーノ(牡、父トランセンド、母ブラウンテヌート=シンボリクリスエス、浦河・金石牧場生産、馬主・稲場澄氏)。2連覇がかかったヒロシクンの逃げを徹底マークする戦法を取り、直線の激しい叩き合いからハナ差先着。史上初めて3歳馬優勝の偉業を達成した。

 菅原勲調教師「東北優駿で出遅れているのでスタートだけ気をつけようと騎手には伝えた。思ったよりいい2番手が取れたので見ていて楽だったが、直線は交わせそうで交わせない。やっぱりヒロシクンもなかなかしぶとい。ゴールに入ってもどちらが勝ったか分からなかった。今日のレースは120点。3歳馬がこの時期に古馬相手に勝ったので、これからの成長が楽しみ」

 リケアカプチーノは高知8戦5勝2着3回から岩手入り。初戦のダイヤモンドカップはシーソーゲーム(大井)に完敗の2着だったが、地元同士の東北優駿を圧勝。さらに状態が良くなったことから、みちのく大賞典への挑戦を決断した。この後は夏休みに入り、ぶっつけでJpnⅡ不来方賞へ臨む。

ハヤテスプリント

 7月8日は3歳・地方競馬全国交流「第13回ハヤテスプリント」(1着賞金500万円、盛岡ダート1200m)。

 大井所属のヨシノダイセン(単勝2・5倍)とキエティスム(3・0倍)の2頭が人気を分け合い、結果はキエティスム、ヨシノダイセンの順。離れた3番手につけたキエティスム(牡、父ダノンレジェンド、母ローマンビューティ=ローマンエンパイア、浦河・中島牧場生産、馬主・会田裕一氏)が、ラスト200mで5頭一線となったところ外から力強く抜け出して3馬身差。重賞挑戦3度目でタイトルを手にした。

 田中正人調教師「1月のレースを使った後、放牧に出したのが良かったと思う。精神的に大人になって帰ってきた。メンタル面で課題があり半信半疑で臨んだので、この結果は大きい。次の目標は優駿スプリント。古馬の一般戦を使う選択肢もあるが、輝けるうちに輝かせたい。ローテーション的にはきついと思うが、できれば挑戦したいと思っている」

 JpnⅢ「第29回マーキュリーカップ」(1着賞金3000万円、盛岡ダート2000m、7月21日)の選定馬が発表された。

 ◇JRA代表・クラウンプライド、ジャスパーロブスト、セラフィックコール、ディープリボーン、メイショウフンジン
 ◇他地区地方代表・キタノヴィジョン、シンメデージー、マルカイグアス、ミックファイア、ライトウォーリア
 ◇岩手代表・サクラトップキッド、ドテライヤツ、ヒロシクン、ヘリオス(五十音順)

 クラウンプライドの2連覇なるかが見どころだが、包囲網は昨年以上に強力。今後、出走見送り、繰り上がり等があるので最終決定を待ちたい。


松尾 康司 まつお こうじ

1958年青森県三戸町出身。
 いわて馬テシオ、週刊テシオ情報局編集長。学生時代にアルバイトをした牧場でトウケイニセイと出会い、馬と競馬に魅せられ、岩手競馬の情報紙に入社。 以来、岩手競馬はもちろん、全国の競馬場、世界各国の競馬取材を重ねてきた。1997年に地方競馬初の専門情報誌「テシオ」も立ち上げ、現在もさまざまなメディアで活躍中