高知支えた名馬の血に期待 ナムラコクオーの血を引くダノニー2024がサマーセールで落札

 8月18日から行われたサマーセールには、史上最多の1390頭が上場された。8頭の産駒全頭が落札されたカラヴァッジオ産駒のうち、最高価格3100万円で取り引きされたのがダノニー2024(牡、日高・いとう牧場生産、購買者・鶴見恵理氏)。その牝系には、1994年日本ダービーでナリタブライアンの好敵手といわれ(6着)、その後脚部不安で高知に移籍したナムラコクオーの名がある。存続の危機にあった高知競馬を背負って、ケガと闘いながら12歳まで現役を続けたナムラコクオー。約30年の時を経て、その血を受け継ぐ馬が注目を集めた。

 サマーセール3日目に登場したダノニー2024は、ファーストビッド400万円の声から、競り合いの末3100万円で争奪戦に終止符が打たれた。父のカラヴァッジオは愛米で供用された後に日本へ輸入されており、欧米ですでにGⅠ勝ち馬を輩出。欧州新種牡馬チャンピオンにも輝いている。1歳世代が日本供用での最初の世代。サマーセールに上場された産駒の中で最高額の評価を受けたダノニー2024は、母系も活躍馬がそろう。母ダノニーは中央2勝、半兄プラチナアッシュは平地と障害で4勝、同ティーブラッサムも2勝を挙げている。

 いとう牧場が大切につないできた血統だ。4代目の伊藤真継代表は「牧場を支えてくれた血統です」と言う。ダノニー2024の3代母ケイジョイナーの仔がナムラコクオー。2歳から12歳まで中央、高知に所属し47戦27勝の成績を挙げた。

 94年春のクラシック。ラジオたんぱ杯3歳S(当時)、シンザン記念、トライアルのNHK杯を制しダービーへ。ナリタブライアン1強ムードの中、初対戦のナムラコクオー陣営は「負かしに行く」と挑戦状を叩きつけ、ダービー一番の見どころとされた。2番人気で臨み、ほぼ同じ位置で進めて6着。伊藤代表は「ダービーでナリタブライアンに勝てるのはこの馬しかいないと言われてね。ダービー前はうちの牧場にまで報道陣がやって来ての取材もすごかったです。屈腱炎がなければ」。あれから31年たった今も、さまざまな思いが去来している。

 屈腱炎が判明し、治療休養を挟みながら6歳春まで中央に在籍。7歳から新天地を高知に求め、田中守厩舎で再出発した。6歳2戦、7歳2戦、9歳1戦、10歳全休と屈腱炎治療による休養を何度も余儀なくされての競走生活となったが、7連勝を2度、6連勝を1度マーク。地元重賞の黒潮スプリンターズCと建依別賞を制し、晩年の12歳でダートグレード黒船賞にも出走した

 ダノニー2024は、ナムラコクオーの血と記憶を後世につなぐ仔になる。伊藤代表は「母ダノニーはカラヴァッジオの仔を産んで亡くなりました。この1歳が最後の仔。母馬が死んで、ケイジョイナーの血統も自己所有馬ではいなくなりました」と話す。母が最後に残した仔は、サマーセールで高く評価される馬に成長した。購買した石川県在住の鶴見恵理オーナーは「一緒に行った方が評価してくれましたし、何か雰囲気を持っている馬という思いでした。金額が上がっていっても魔法にかかったかのような気持ちでしたね」と、競り合い時の思いを表した。大井競馬への入厩を予定している。